個別ラボ訪問実施研究室

上田泰己の写真 合成生物学研究チーム 上田 泰己

生命科学研究は還元論的アプローチから、生命の部品を組み合わせて生命現象を再現・設計する構成論的アプローチへパラダイムシフトが起こりつつあります。合成生物学が新しい生命科学研究の領域として認識されつつある一方で、遺伝子やタンパク質などの生命の部品を調整・設計・制御し、生命を創るための技術は十分確立されていません。当グループでは、このような状況を鑑み、概日時計や睡眠現象をモデル系として生命システムの制御および設計の先見的な実現例を示すとともに、合成生物学の基盤テクノロジーを開発することを目指します。

大浪修一の写真 発生動態研究チーム 大浪 修一

私たちの研究室では、主に光学顕微鏡ライブイメージングと画像情報処理、ビッグデータ解析、計算機シミュレーションの技術を駆使し、多細胞システムの4次元的な動態の定量的な計測や、数理モデルの構築、未来の予測等を行う技術を開発し、多細胞生物の発生と多細胞システムの創成の予測可能な理解を目指した研究開発を展開しています。

岡田康志の写真 細胞極性統御研究チーム  岡田 康志

近年の分子生物学と構造生物学の進歩は著しく、CG を駆使した美麗なイラストや動画を目にする機会も増えました。しかし、「生命とは何か?」には、まだ答えられません。私たちは、想像図ではなく、生きた細胞の中で生命現象の現場を分子レベルで直接見ることで「生命とは何か?」を理解したいと考え、そのための技術開発とそれを利用した計測に並行して取り組んでいます。具体的な研究対象としては、キネシンなどの分子モーターによる細胞内輸送を中心に、シグナル伝達分子の核輸送から遺伝子発現調節まで、細胞の中での輸送・動きを一分子レベルで直接イメージングすることで解析しています。

北島智也の写真 染色体分配研究チーム 北島 智也

哺乳類卵母細胞における染色体分配の機構を研究しています。ライブイメージングや分子生物学、細胞生物学、生殖工学的なアプローチを使っています。卵子の老化で見られる染色体数異常の原因を明らかにしたいと考えています。

 
木村航の写真 心臓再生研究チーム 木村 航

哺乳類の成体には心筋再生能力がありませんが、胎児期や生後すぐの新生児期の心筋には再生能力があります。我々の研究室では、環境変化により心筋再生能が制御される分子的・進化的機構を明らかにし、新しい心臓再生の方法を確立することを目指します。

坂口秀哉の写真 神経器官創出研究特別プログラム 坂口 秀哉

近年の幹細胞研究の著しい進歩によって、ヒト3次元脳組織(脳オルガノイド)を培養皿の上で作ることが可能となり、ヒトの神経疾患解明への応用が期待されています。私たちの研究チームでは、ヒトES/iPS細胞から3次元の神経組織を作成する系を利用して、大脳や海馬領域を中心に、ヒト発生学における領域形成のメカニズムの解明や、アルツハイマー病や統合失調症などの神経疾患の治療に貢献できる応用研究を進めています。

柴田達夫の写真 フィジカルバイオロジー研究チーム  柴田 達夫

フィジカルバイオロジー研究チームでは、物理学や数理科学のアイデアにもとづいて理論と定量的な実験を組み合わせて細胞生物学や発生生物学の問題に取り組むことで、生命を構成する部品が統合されて生命の機能が発現する仕組みの解明を目指しています。特に、細胞のキラリティ創発の機構の解明、細胞集団や体の左右非対称性の形成機構の解明、遊走細胞による細胞の集団運動の創発機構の解明などに取り組んでいます。

清水義宏の写真 無細胞タンパク質合成研究チーム 清水 義宏

試験管の中で生体内の分子を組み合わせて生命システムの一端を再現するという試みを通じて、生命とは何かを解き明かすことを目的に合成生物学研究を行っています。特に、情報分子(核酸)と機能分子(タンパク質)を繋ぐリボソームを基盤としたタンパク質合成システムに着目し、プロテオーム解析やタンパク質エンジニアリングなどの技術革新にも貢献できる形で研究を展開しています。

白水 美香子の写真 タンパク質機能・構造研究チーム 白水 美香子

細胞外からの刺激に応じて、どのように細胞内の生体分子が構造変化を引き起こし、局在や結合相手を変えてシグナルが伝達されるのか、その仕組みを理解するため、クライオ電子顕微鏡単粒子解析などの手法を用いて生体分子複合体の立体構造を解析しています。

城口克之の写真 細胞システム動態予測研究チーム  城口 克之

光学顕微鏡を用いた蛋白質1分子動態観察と次世代シークエンサ関連技術の開発経験を基に、バイオイメージング・オミックス解析・機械学習などを組み合わせた新規1細胞計測法を開発しています。新しい技術を用いて新しいものを“見る”ことにより、細胞、オルガノイド、組織サンプルなどを対象に、生命の新しい理解や医科学への貢献を目指しています。

砂川 玄志郎の写真 冬眠生物学研究チーム 砂川 玄志郎

一部の哺乳類は自ら代謝を低下させ休眠という省エネ状態(能動的低代謝)に入ります。数ヶ月の休眠を冬眠、数時間の休眠を日内休眠と呼びます。冬眠動物のように人間を安全に休眠状態に誘導できれば、救命できない症例を減らしたり、重症患者の搬送、臓器の長期保存、全身麻酔の安全化など、臨床の様々な問題点をクリアできると考えられています。さらに、人工冬眠によって寿命を延伸できれば、未来へ行ったり、地球から離れた遠くの宇宙に旅することなど、人類の既存の時空感覚を大きく拡張できる可能性があります。人工冬眠の実現を目指して、冬眠の基本原理を解明します。

関根 俊一の写真 転写制御構造生物学研究チーム 関根 俊一

私たちは、細胞内で生体分子が働く仕組みを分子・原子レベルで明らかにするために、クライオ電子顕微鏡等 最先端の技術を用いた構造生物学研究を行っています。特に、遺伝子の発現を担う転写系のタンパク質群に着目し、転写の過程で形成される様々な複合体の立体構造やダイナミクスを明らかにすることで、クロマチン内での転写やウイルス増殖の仕組みの理解を目指しています。

髙里実の写真 ヒト器官形成研究チーム 髙里 実

私たちは、試験管内で任意の臓器を完全な形で創り上げることが、その再生医療研究の究極的な目標の一つであると考えています。この目標に近づくため、当研究チームでは、ヒトiPS細胞から腎臓オルガノイドを作成する系を利用して、移植可能な、更に高次のレベルの腎臓組織の構築を目指すとともに、腎臓以外の尿路系組織の再構築にも挑戦しています。また、純粋なヒト発生学への貢献も目指し、分化誘導過程のヒトiPS細胞の挙動を詳しく観察することで、ヒトの中胚葉系臓器や腎臓の発生メカニズムを解明したいと考えています。

高橋恒一の写真 バイオコンピューティング研究チーム 高橋 恒一

私たちは、研究現場にAIなどの情報科学やロボットなどの工学を持ち込むことで、生命科学にパラダイムシフトをもたらすことを目標に研究しています。具体的には、「実験をプログラミングにする」を合言葉にしたロボットによる実験自動化とそのiPS細胞培養やオミクス解析などの具体的対象への応用や、ゲノム規模の全細胞シミュレーション技術E-Cellの開発などを行っています。

二階堂愛の写真 バイオインフォマティクス研究開発チーム 二階堂 愛

我々はデータサイエンスと分子生物学を駆使して、世界最高性能の1 細胞RNAシーケンス法Quartz-Seq2や、世界初の1 細胞完全長Total RNA シーケンス法RamDA-seq の開発に成功しました。またそれらのデータから新規遺伝子、遺伝子ネットワーク、細胞間相互作用を予測する機械学習手法をそれぞれ開発しました。これらの技術のほとんどが製品化や起業を通じて社会実装されています。現在も、基礎研究にも産業応用にも耐えうる新しい1細胞ゲノム科学技術の開発を目指して研究を行っています。

平谷伊智朗の写真 発生エピジェネティクス研究チーム 平谷 伊智朗

私たちは、既存の解析手法では見えていないエピゲノム変化を明らかにすべく、メガベース(100万塩基対)単位のゲノム三次元高次構造(=3Dゲノム)に着目し、胚発生・細胞分化に伴う3Dゲノム変化を1細胞レベルで全ゲノム解析しています。1細胞データを丹念に見ていくことで、3Dゲノム変化を生み出す仕組みの解明に取り組み、ゲノム・染色体が持つ知られざるポテンシャルを明らかにしたいと考えています。

藤原 裕展の写真 細胞外環境研究チーム 藤原 裕展

組織幹細胞は、組織の発生や再生に中心的な役割を果たします。幹細胞の挙動や運命は、細胞外マトリックス、増殖因子、周囲細胞などからなる「ニッチ」と呼ばれる幹細胞独自の細胞外環境からのシグナルによって制御されています。我々のグループでは、幹細胞とニッチの間のダイナミックな相互作用をよりよく理解するために、新しいイメージングツールを導入・開発し、それらをシングルセル・トランスクリプトミクスなどと組み合わせて研究を進めています。幹細胞の機能不全は先天性疾患や癌などのさまざまな病気の原因となるため、幹細胞とニッチのコミュニケーションの理解は今後の医療の発展に大きく貢献すると期待されます。

宮道和成の写真 比較コネクトミクス研究チーム 宮道 和成

私のたちの一生の間に神経回路はどのように変化するでしょうか?当研究室は、主にマウスをモデルに、性成熟や妊娠・出産など大きなライフイベントに伴う神経回路の変化を捉え、その分子機構や意義を研究しています。

森本 充の写真 呼吸器形成研究チーム 森本 充

生物の体を一から組み立てる“発生”と、失った体を取り戻そうとする“再生”では共通する細胞間シグナルが寄与することが知られています。その全体像を理解することができれば生物の生涯を通して保存された重要な基本原理が理解され、ヒトの疾患の原因解明や新規治療法の開発にもつながります。私たちは呼吸器を題材に、マウス遺伝学、ES/iPS細胞、オルガノイド、1細胞転写解析、ライブイメージングなどを使って、臓器の発生、再生、疾患の研究に取り組んでいます。

SaKanYooの写真 動的恒常性研究チーム Sa Kan YOO

生体における組織恒常性は非常にダイナミックで、そのダイナミズムの維持が恒常性に大事です。癌や老化といった病気は、このダイナミックな組織恒常性が乱れる状況です。私たちは、健康時の組織恒常性の維持メカニズム、そしてそれが破綻するメカニズムを、細胞・組織・個体レベルで研究しています。具体的には、ショウジョウバエを使い、老化・癌・組織幹細胞・細胞死・エレボーシス・栄養といった切り口で研究を行なっています。