期間中のレポート

2012年より毎年夏に5日間の滞在型プログラムとして開催してきた本イベントですが、新型コロナ感染拡大を受け中止となった時期もありましたが、今年も無事に開催することができました。今回は143名の応募があり、選考の結果、12の研究室に合計31名の大学生を受け入れました。

8月19日(月)初日

非常に暑い日でしたが、神戸、大阪の両キャンパスに参加者が集まり、 初日のオリエンテーションを開始しました。集まった参加者の皆さんは、緊張気味の中、マイクを片手に自己紹介をしていきました。オリエンテーションが終わり、大いなる期待と少しの不安を抱えつつ、それぞれの配属ラボに向かいます。夕方には再び参集し、受入れラボの方々も加わり、夕食を食べながら参加者及びBDRメンバーとの交流を深めました。

1日の様子1
1日の様子2 1日の様子3
8月20日(火)~22日(木)

2日目は林 茂生チームリーダーの、生物の形態形成に関する講義からスタートしました。講師自身の学生時代や研究歴など幅広い内容に、何人かの方は、前のめりになって聴き入っていました。講義の後、他のラボを見学するツアーが行われました。ここでもPIと生き生きと交流する参加者の姿が印象的でした。その後、再びラボに戻って実験の続きです。
5日間という短い期間で参加者の皆さんが最高の体験をできるように、各ラボはこのプログラムのために早くから周到な準備を進めてきました。

2日の様子1 2日の様子2
2日の様子3 2日の様子4

8月21日(水)は引き続きラボでの実験が行われました。神戸キャンパスにおいては、2回目のラボ見学するツアーが行われました。

8月22日(木)、早くも後半に突入です。午前中には森下 喜弘チームリーダーによる、生命現象の数理的理解に関する講義がありました。講師からの熱意あふれる発言にハッとされる様子が印象的でした。その後、ラボに戻り、最終日の研究発表に向けていよいよラストスパートです。

実験の様子1 実験の様子2
実験の様子3 実験の様子4
実験の様子5
8月23日(金)最終日

ついに最終日の研究発表会、大阪キャンパスのメンバーも神戸に参集しました。北島 智也副センター長による激励の後、参加者が5日間の集大成となる研究発表に臨みます。司会やタイムキーパーなどの進行も参加者が担当し、自分たちの研究発表会を作り上げていきます。質疑応答も活発に行われました。すべての発表が終わった後、厳正なる審査の結果、5つのチームに賞が贈られました。

5日の様子1 5日の様子2
5日の様子3 5日の様子4
5日の様子4 5日の様子5
 

最後にみんなで記念撮影! 参加いただいた皆さん、本当におつかれさまでした。

全体写真

5日間のサマースクールを終えて

 
麻布大学獣医学部麻布大学獣医学部 5年 金藤浩伯
『BDRサマースクールでの収穫と今後の展望』

 私が理研BDRサマースクールで過ごした5日間は、まるで大ヒット映画の予告編のように私を研究の世界へ引き込む上で十分すぎるほど魅力的な時間でした。  関わることを切望していた冬眠研究、同じ研究テーマを愛する同士の存在、毎日夜遅くまで展開される興味深い議論、所属外研究室で行われる魅力満点のラボツアー、PIの先生方や連携大学院制度で理研BDRに所属する先輩方の研究ロールモデルの話、その全てを味わうことが可能なこれ以上ないほど楽しい5日間です。逆に参加しない理由が見つからないほど魅力的な理研BDRサマースクールを、今後ぜひ多くの意欲的な学生さんに参加して欲しいと参加者ながら思ってしまうほどでした。今回のサマースクール中に向上させるべきだと感じた能力としてはデータの統計処理能力です。実験で得られたデータは解析次第でどのような見せ方をすることも可能であるということを実感する場面が多くありました。その中で、誠実かつ客観的なデータの示し方をするためには統計学の手法が欠かせないと強く感じました。せっかく貴重なデータを得られても、その魅力の伝え方が未熟であると研究としての魅力が伝えられなくなってしまいます。冬眠研究を愛するものとして、これほど悔しいことはありません。現在は苦手分野であった統計学や数学的なアプローチにも意欲的に臨んでいます。今後とも冬眠研究に関わっていけるように、今回の経験を糧に邁進します。

 
北海道大学理学部生物科学科 3年 前田皓丞
『キネシンと歩んだ5日間』

 私は生体の恒常性を維持する仕組みやその乱れについて、生体内で起こる分子的なメカニズムを解明したいと考えています。普段行っている、溶液中の分子の動きを様々な手法で探ることに加えて、実際の生体内で分子が動いている様子を直接観察することにも興味があり、細胞極性統御研究チームに応募しました。 細胞極性統御研究チームでは、顕微鏡を使って、細胞の中で動くモータータンパク質や、それらと相互作用する酵素などを観察しました。試料の調整からデータの取得、発表資料の作成まで、全ての過程において学びが満載でしたが、特に印象に残っているのは、実験によって得られたデータを解釈する段階です。どの部分に注目し、どのように解釈をし、自分の知識を交えつつどのように結論を導き出すのか、という点が本当に人それぞれ異なり、自分の視点の特徴を知るとともに、よく見て自分の頭でしっかりと考えること、異なる分野からの視点を取り入れることの重要性を実感しました。また他の実習生も、知識に貪欲な人や、好きなことを楽しそうに語る人ばかりでした。理研の研究に触れることと同時に、学びや研究に意欲的な人とたくさん出会い刺激を受けることができたことも、このサマースクールに参加してよかったと思うことでした。 このサマースクールでの5日間は、自分の研究生活における、大きな転換点になったと思います。自身の研究に対する姿勢を見直すとともに、改めて研究の楽しさを実感する機会になりました。また、共に高め合いたい仲間にもたくさん出会い、今まで以上に学びや研究に対する意欲が湧いてきました。 このような貴重な体験をさせていただいた岡田研の皆様、ならびに理化学研究所の皆様に心から感謝申し上げます。ありがとうございました。

 
近畿大学農学部応用生命化学科 3年 松田隼
『薄い光シートと濃い経験』

 また、参加したい。サマースクールを終えた今の素直な感想です。 所属させていただいた先端バイオイメージング研究チームでは、光シート顕微鏡の設計・構築について教えていただきました。小学理科で習う凸レンズの知識から4f光学系を経て、ベッセル型光シート顕微鏡に発展していきました。サマースクールに参加する前、ベッセル型光シート顕微鏡という物々しい名前のものを自分が設計・構築することなんてできるのかと思っていましたが、一つ一つを紐解けば、全て基礎的な知識、つまり小学理科の知識を用いれば考えられることでした。小学理科の知識で設計できる光シート顕微鏡でしたが、構築するには根気が必要でした。レーザーの平行を合わせる、光軸を合わせる、そんな手順をコツコツ積み上げることで光シート顕微鏡は構築されていました。苦労して構築した光シートはとても薄く、大変綺麗でした。 振り返ってみると、先端バイオイメージング研究チームでは、光シート顕微鏡について教えていただいたのではなく、光シート顕微鏡を設計・構築する過程を通して、物事の考え方を教えていただいたのだと思います。小学校で習う知識を積み重ね、応用し、それを順番にコツコツと構築していく。これからの過ごし方に通じるものがあるかもしれません。 理化学研究所神戸キャンパスで過ごした夏の5日間は非常に濃い経験となりました。私に、光シート顕微鏡、考え方、そして愛について教えてくださった先端バイオイメージング研究チームの皆さん、BDRの皆さん、参加者の皆さん、貴重な機会を頂き本当にありがとうございました。

感想文をご提供くださった皆様、ありがとうございました。