大学生のためのBDRサマースクール

期間中のレポート

2012年より毎年夏に5日間の滞在型プログラムとして開催してきた本イベントですが、2020年、2021年は新型コロナ感染拡大を受け中止となりましたが、昨年に引き続き、今年も無事に開催することができました。今回は108名の応募があり、選考の結果、10の研究室に合計24名の大学生を受け入れました。

8月21日(月)初日

神戸、大阪の両キャンパスに参加者が集まり、 初日のオリエンテーションを開始しました。緊張気味に集まった参加者の皆さんも、自己紹介とラボ紹介が終わるころにはいくらか和み、大いなる期待と少しの不安を抱えつつ、それぞれの配属ラボに向かいます。夕方には再び参集し、夕食を食べながら参加者及びBDRメンバーとの交流を深めました。

2日の様子1 2日の様子2
2日の様子1
8月22日(火)~24日(木)

2日目は倉谷 滋チームリーダーの講義からスタートしました。講師もうなる鋭い質問が参加者から飛んでいました。講義の後、他のラボを見学するツアーが行われました。ここでもPIと生き生きと交流する参加者の姿が印象的でした。その後、再びラボに戻って実験の続きです。

3日の様子1 3日の様子2
3日の様子3 3日の様子4
3日の様子3 3日の様子4
 

8月23日(水)は引き続きラボでの実験が行われました。5日間という短い期間で参加者の皆さんが最高の体験をできるように、各ラボはこのプログラムのために早くから周到な準備を進めてきました。

4日の様子1 4日の様子2
4日の様子3 4日の様子4

8月24日(木)、早くも後半に突入です。午前中にはLi Kun Phngチームリーダーによる講義がありました。英語での講演でしたが、皆さん積極的に英語で質問されていたのが、印象的でした。その後、ラボに戻り、最終日の研究発表に向けていよいよラストスパートです。

5日の様子1 5日の様子2
8月25日(金)最終日

ついに最終日の研究発表会、大阪キャンパスのメンバーも神戸に参集しました。西田栄介センター長による激励の後、参加者が5日間の集大成となる研究発表に臨みます。司会やタイムキーパーなどの進行も参加者が担当し、自分たちの研究発表会を作り上げていきます。質疑応答も活発に行われました。すべての発表が終わった後、厳正なる審査の結果、発生エピジェネティクス研究チーム、動的恒常性研究チーム、 冬眠生物学研究チームの3つのラボに賞が贈られました。

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最後にみんなで記念撮影! 参加いただいた皆さん、本当におつかれさまでした。

全体写真

5日間のサマースクールを終えて

 
茨城大学農学部食生命科学科バイオサイエンスコース3年 上原愛理
『やってみよう』

 はじめに、このサマースクールに参加しての一番の感想は「とりあえず応募してみてよかった!」だと思います。このサマースクールに関する情報を夜中に突然送り付けてくれた友人には感謝の気持ちでいっぱいです。私のように、知識や経験に自信がなくてもとりあえず志望理由書に思いと熱意を書いて送ってみたら採用されちゃって充実した夏を過ごせちゃうはずです。
 もともと栄養や摂食行動など食に関することに興味があった私は、栄養応答研究チームに所属させていただき、ショウジョウバエを用いて排出に着目した研究を行いました。ハエを扱うこともちゃんとした研究を行うことも初めてで慣れないことが多かったのですが研究員の方の丁寧なご指導や同じラボに所属した実習生の仲間のおかげでとても楽しく研究することができました。特に、実験から得られた予想外のデータに対して先生や研究員の方と一緒に様々な議論をしたり、研究員さんそれぞれが取り組んでいる研究についてお話を聞いて質問をしたりするような時間がとても刺激的でおもしろかったです。プレゼンの方法についてもアドバイスをいただけたおかげで本番では印象に残るようなプレゼンができたかと思います。全国から参加した実習生は学年も出身も学部も違っていましたが、誰もがそれぞれの大きな強みと熱意を持っているような人たちでした。最終日には一緒に過ごした時間以上に仲が深まっていたように思います。
 最後に、なんとなく興味を持って応募した私ですが、サマースクール終了後には研究の楽しさを知ったことで今後の進路を見直す時間が生まれるほどに充実した、学びのある5日間になりました。理研BDRのみなさん、栄養応答研究チームの皆さん、参加者のみなさん、お世話になりました。

 
京都大学薬学部薬学科3年 内田明寿美
『自分を成長させてくれるきっかけ』

 大学3回生になり、私は自身の現状に対する物足りなさと、将来に対する不安を感じていました。毎日講義を受けて、知識を取り入れ、既に結果が明らかとなっている実験を一生懸命に取り組む日々。科学的な基礎力を身につけることは必要不可欠であると感じながらも、もっとワクワクして打ち込めるようなことがしたいと悩んでいました。また、大学では薬剤師を目指す学科に所属しながらも、研究者に対して漠然とした強い憧れがありました。そんな中、このサマースクールを見つけ、研究者への大きな一歩を踏みだせるのではないかという期待のもと、応募しました。
 所属した、発生エピジェネティクス研究チームでは、マウスの受精直後期における、核内のユー/ヘテロクロマチン領域の区画化を観察しました。初めに研究する上で必要な知識や自身らが分からない所を丁寧に教えていただいた後、実験、観察、解析、発表スライドの作成をし、最後に発表を行いました。実験結果を考察する過程では特に大きな学びがありました。自身がこれまでいかに狭い視野で観察や考察を行ってきたかを痛感すると共に、未明である事柄を実験を通して自身らなりに解明していくことに対する面白さを深く感じました。また、発表を通して、自身らの考えが他の方に伝わることの難しさと楽しさを実感しました。一方で、知識、観察力、考察力、英語力など、課題点も多く見つかり、今後自身がさらに成長できる契機を得ることができました。
 他、ラボツアーや交流会では、理研の先生や研究員の方と直接お話する機会もあり、研究者としての心構えを学ぶと共に、将来設計における視野も広げることができました。同じ夢を持った仲間との出会いも、自身にとって大きな糧となりました。 最後に、ご指導くださった平谷伊智朗先生、発生エピジェネティクス研究チームの皆様、そしてサマースクールを開催してくださったBDRの方々、本当にありがとうございました。

 
大阪大学工学部応用自然科学科バイオテクノロジーコース3年 久須美莉子
『夢に挑戦しようと思う気持ちを再認識できる機会』

 私は将来、生物工学を使って社会に貢献できる研究者になるという夢があり、wet(生物試料を用いた実験系)の研究経験を積んできました。その中で、分野に関わらず幅広い知識があることの重要性を感じていたときに、BDRサマースクールについて知り、wetとdry(解析系)が融合した研究を行っている城口研究室を志望しました。
 サマースクールでは、城口研究室で開発された最先端の技術の1つである、顕微鏡観察と1細胞分取を自動で繰り返すことが可能なロボットを実際に使わせていただき、細胞の形態と遺伝子の発現の関係について研究をしました。スライドの作成や発表練習の際にたくさんアドバイスをいただき、研究者には伝えるという能力が必要だということが改めて分かりました。  
 また、第一線で研究されている理化学研究所の研究者の方々と直接お話ができ、研究者としてやっていけるのかなど、今まで抱いていた不安はほとんどなくなりました。将来像がうまく思い浮かばなかったとしても、そのとき自分がするべきこと、したいと思っていることを一生懸命進めていれば、これまで積み重ねてきたものに従って、これからさらに進む道が自ずと見えてくるのではないかと感じました。一人一人の方が、研究でこういったことがしたいという目標や夢を持っていたことが印象的でした。
 BDRサマースクールを終えて、解析のために初めて使ったPythonをもっと学びたいと感じ、現在はdryの研究とwetの研究を組み合わせた研究ができるようにPythonをより深く学んでいます。このプログラムに参加したことで、これから自分がしたいことが見つかり、夢に向かって加速できているように感じています。親切に受け入れてくださった城口研究室の皆さん、サマースクール関係者の方々、このように夢に挑戦していこうと思う気持ちを再認識できる機会を提供してくださってありがとうございました。

 
明治大学理工学部電気電子生命学科3年 山﨑央敦   
『好奇心に導かれて』

 私は今回のサマースクールで無細胞タンパク質合成研究チームに所属させていただき、無細胞系でのタンパク質合成やウイルスの作成を行いました。以前から遺伝子発現や糖鎖修飾、ウイルスの感染などに興味があったため、それらに関連する最先端の研究に触れられるということはとても魅力的でした。大学で専門とする分野からは少し離れているのですが、自分の好奇心には抗うことができずサマースクールに応募しました。実習生としてご選考いただき、貴重な体験をさせていただけたことを心より感謝しております。
 研究室ではリーダーやメンターの方々のサポートのお陰で実習を楽しみながら無細胞タンパク質合成について学ぶことができました。また、研究内容だけでなく、研究者を目指し始めたきっかけやどのような経緯を経て理研で研究をすることになったかなども教えていただけたため、自分の将来を考えるための貴重な機会となりました。また、最終日の発表に向けてどうすれば5日間の経験が伝わるか考えてスライドを作成したり、発表に対する質問にどのように答えるべきか悩んだりできたことは私を大いに成長させてくれました。他の実習生と話していても、各々が自分の将来に向けて進んでいたり富んだ知識や優れた人間性を兼ね備えていたりしていることを実感しました。今回の経験や出会いが今後研究をしていくモチベーションになることは間違いないでしょう。
 サマースクールを通して素晴らしい研究の数々を目の当たりにできたこと、多くの方とお話をする機会をいただけたこと、高い志を持つ素晴らし仲間に巡り合えたことを心から嬉しく思います。このような機会を与えてくださり本当にありがとうございました

 
感想文をご提供くださった皆様、ありがとうございました。