大学生のためのBDRサマースクール

期間中のレポート

2012年以来慣れ親しんだ「大学生のための生命科学研究インターンシップ」から改称し、2019年9月2日(月)から6日(金)までの5日間にわたり、「大学生のためのBDRサマースクール」を実施しました。今回は92名の応募があり、選考の結果、8つの研究室に合計20名の大学生を受け入れました。

9月2日(月)初日

8回目を迎える今回は初めての9月開催です。8月にいったん気温が少し下がったので、今回のサマースクールはいつもより涼しくなるかと期待したのですが、皆さんのやる気が熱気を運んできたのか、熱いサイエンスの夏は9月にやってもやっぱり暑かったです。
初日のオリエンテーションに緊張気味に集まった参加者の皆さんも、自己紹介とラボ紹介が終わるころにはいくらか和み、大いなる期待と少しの不安を抱えつつ、それぞれの配属ラボに向かいます。夕方には再び参集し、「恒例の」カレーで更なる英気を養いました。

2日の様子1 2日の様子2
2日の様子3
9月3日(火)~5日(木)

2日目は宮道和成チームリーダーの講義からスタートしました。講師もうなる鋭い質問が参加者から飛んでいました。講義の後は再びラボに戻って実験の続きです。夜には他のラボを見学するツアーが行われました。ここでもPIと生き生きと交流する参加者の姿が印象的でした。

3日の様子1 3日の様子2
3日の様子3 3日の様子4
3日の様子5 3日の様子6

9月3日(水)は引き続きラボでの実験とラボの見学ツアーが行われました。5日間という短い期間で参加者の皆さんが最高の体験をできるように、各ラボはこのプログラムのために早くから周到な準備を進めてきました。

4日の様子1 4日の様子2
4日の様子3 4日の様子4

9月4日(木)、早くも後半に突入です。午前中には竹市雅俊チームリーダーによる講義がありました。研究者として歩んできた道を振り返る講義内容に心を揺さぶれた参加者も多かったのではないでしょうか。その後、またラボへ。最終日の研究発表に向けていよいよラストスパートです。

5日の様子1 5日の様子2
9月6日(金)最終日

ついに最終日の研究発表会。西田栄介センター長による激励の後、参加者が5日間の集大成となる研究発表に臨みます。司会やタイムキーパーなどの進行も参加者が担当し、自分たちの研究発表会を作り上げていきます。質疑応答も活発に行われました。すべての発表が終わった後、厳正なる審査の結果、「PI選考賞」が発生動態研究チーム、比較コネクトミクス研究チーム、形態形成シグナル研究チームへ、参加者が選んだ「学生投票賞」が形態形成シグナル研究チームへ贈られました。

6日の様子1 6日の様子2
6日の様子3 6日の様子4
6日の様子5
 

最後にみんなで記念撮影! 参加いただいた皆さん、本当におつかれさまでした。

全体写真

5日間のサマースクールを終えて

 
大阪府立大学生命環境科学域自然科学類 3年 角 春佳
『エキサイティングな5日間』

私は、最先端の研究を行う研究者がどのように実験計画を立て、実験を進めるのかを学びたいと思い、本プログラムに応募しました。
生物の恒常性維持に関する研究を行っているYoo研究室でインターンシップを行いました。テーマは「腸で吸収される栄養の種類と、栄養吸収に関与している細胞の種類の解明」であり、ショウジョウバエの培養や解剖、共焦点顕微鏡の使用などを行いました。なかでもショウジョウバエから腸を取り出すという初めての操作に苦労しました。得られた結果をもとに、プレゼンを作成し、最終日に発表を行いました。このようにして、実験計画を立て、実験を行い、得られた結果に関して議論し、解釈を深め、プレゼンとして発表するという一連のプロセスを学びました。
本プログラムに応募しようか迷っている方がいたら、是非応募してほしいと思います。本プログラムでしか得られない人脈や経験は今後の進路を決定する際に大きな影響を与えてくれると思います。一流の研究者の方々と直接話をする機会が設けられており、貴重なアドバイスを頂きました。また、本プログラムに参加した他大学の学生たちが熱意を持って実験に取り組む姿も、モチベーションの向上にもつながりました。
末筆ではございますが、5日間、細やかにご指導くださったSa Kan Yoo先生を始め、動的恒常性研究チームの皆様、本インターンシップを運営して下さった理化学研究所の皆様方に心より感謝申し上げます。

 
筑波大学生命環境学群生物学類 3年 田口将大
『実験手法や技術よりも大事なものを得ました』

このサマースクールでは大学の実習で学べるような実験手法や技術よりも大切なものを多く得られました。その中でも特筆したいことを書き連ねます。ぜひ参加に興味のある方は参考にしてください。
参加者と交流していく中で研究志向の高い人間が多いことが分かり、特に医学生のアカデミックへの好奇心には大変魅了されました。例えばチームのペアだった医学生はすでに数学とプラグラミングの知識を持っており、得られた4次元データを基礎知識に基づいて定量化していました。彼のように自分の専攻している知識だけに満足しない好奇心旺盛さは自分の研究の幅を広げられる、と実感でき基礎学力をもっと高めようと思えました。
先生や学生と議論、質問し合う中で新たな知識を得られただけでなく、思考力や発想力が磨かれました。しかし同時に先生方による僕の質問への回答や逆に先生方の学生側への質問や議論の着眼点に圧倒されました。ですが圧倒されたからこそ「こう考えればこの質問ができるかもしれない」と考えられ研究者としての思考力を身に着ける方法が自分の中で少し見出せました。
ホテルで同じ部屋だった某医学5年生と某獣医学6年生とは寝る寸前までアカデミックの話をしたり、将来のキャリアについて真面目に話したりして夜も充実してました。最終日の夜、僕が「またいつか会えるんですかねこのお二人と」と呟くと某獣医学生は「お互い研究者になって会うことになれたらいいね」と言ってくれました。彼らの方が年上なので先に研究者としてのキャリアを進めていくと思いますが、彼らに追いつけるよう僕も頑張りたいと思えました。
これらのことは積極的に活動できる環境があったからこそ得られたものでした。このサマースクールで得たことは研究者を目指す自分の背中を押してくれました。理研で研究するメリットなど具体的に聞けたので将来は理研での研究者も視野に入れて頑張っていきたいです。

 
岡山大学マッチングプログラムコース 3年 難波匠太郎
『サイエンス漬けの5日間』

ショウジョウバエの胚発生の動画(https://www.youtube.com/watch?v=PGKsMiLODyM)を見て、理化学研究所の存在を知りました。知識として知っていた胚発生を動画として改めて見てみると、複雑な発生機構が整然と、ダイナミックに行われており、信じられない思いがしました。このような、生命の美しさを再認識させてくれるような研究を行なっている理化学研究所に興味を持ったため、本インターンシップに応募しました。
配属研究室先では「細胞の動態から発生の仕組みを読みとる」をテーマに、ショウジョウバエの飛翔筋形成の観察を行いました。期間内で未解決の問題に対して仮説を持って実験し、データを解析、仮説の検証、発表までこなさなければいけません。林先生や研究員のウェイチェンさん、和田さんなどの研究経験豊かな方々の手厚いサポートのおかげで、5日間で研究の一通りの流れを体験すると言う贅沢なスケジュールをこなすことができました。
また、所属研究室以外の理化学研究所の研究室を訪問する機会もあったのですが、いずれの研究室も特色を持った研究テーマを持っており、活気に満ちていたのが印象的でした。今自分の分野で何が未解決なのかと言うことと、それに対する独自のアプローチを非常にはっきりと説明される場合が多く、研究者として目標にしたいと感じました。
インターンに集まってきた同世代の人達からも多くの刺激を受け取ることができました。早くも研究活動を始めている人、社会人経験のある人、異分野、などの様々な背景をもった同世代が集まる機会はなかなか貴重だと思います。
最後になりますが、有意義なインターンを計画してくださった林研究室の皆様、一緒に研究を行なった、加藤くん、阿喰さん、本当にありがとうございました。

 
東洋大学理工学部応用化学科 3年 平田将大
『未来の研究者』

学部3年生になり、就活や研究の役に立つことはないか調べているとBDRサマースクールのポスターを発見した。ホームページを覗くと髙橋政代先生の『ロボットとAIを駆使したiPS細胞の培養』という近未来的な研究テーマが目についた。ロボットやAIは年々人々の生活に浸透し、iPS細胞は2012年にノーベル医学・生理学賞を取ったばかりで話題性に富んでいる。本インターンに参加すれば現場で使うプログラミングやiPS細胞の分化について学べると思った。その予想は早々に裏切られたが、簡単な実験でも我々の社会に応用されていると体験することができた。
実験は、配色が分からない色水を吸光度から、4つの色(赤、青、黄、無色)のうち何色をどのくらい入れているか当てるというものだった。色を混ぜる際に小学生の図工を思い出した。もしかしたら子供のような純粋な心でしか本質を見抜けないと教えようとしたのかもしれない。
次にプログラムに配色を当てさせるという実験を行った。ここで人とプログラムの考え方の違いに気づき、図工のような実験の意味を理解した。例えば、本実験のように選ぶ色が少なければ人の方が正解に早くたどり着けるが、iPS細胞の分化といった選択肢が多い問題は、プログラムが人より早く分化プロセスの最適化ができるのだ。
また、研究室ではLabDroid「まほろ」を操作した。まほろは命令に従って動き、熟練の研究者と同等のレベルでiPS細胞を分化させる。RPE細胞への分化には約40日かかるが、将来はこの分化作業をロボットが行うことで研究の効率が上がるだろう。さらに、ロボットが手、AIが頭脳となって研究する未来になるかもしれない。そうなったとき、人の役割は何だろうか。
理研には第一線で活躍する研究者が多く在籍している。インターンでは実習テーマに関する知識だけでなく、科学にどう向き合うかという姿勢を学ぶことができる。私も知識を活用し、不思議の海に探索に出ようと思う。
最後に親身に実験のサポート、相談に乗ってくださった髙橋研メンバーをはじめ、理研関係者の皆様、ありがとうございました。

 
同志社大学生命医科学部 3年 矢口花紗音
『5日間で得られた一生の財産』

理化学研究所という日本最高峰の研究機関において、5日間の短くも濃い研究活動に参加させていただけたことは大学生活における一生の宝物となりました。参加前は、生命科学・神経科学の初学者として、大学での研究室配属もされていない私に何が出来るのだろうかと不安に思っていましたが、始まってみれば他の参加者たちともすぐに打ち解け、濃密な研究生活に夢中になりあっという間に5日間が過ぎ去ってしまいました。
私が所属した宮道先生の比較コネクトミクス研究チームでは、脳に蛍光タンパク質を打ち込んだマウスを用いてファイバーフォトメトリーを行い、マウスの行動と脳の神経活動の関係を見る研究を行いました。限られた時間の中で私たちサマースクール生が内容を理解し研究成果をまとめられるよう研究チームの方々には多くのご尽力をいただきました。どんなに難しくハイレベルな研究内容でも見る人に伝わらなければ意味がないという考えのもと、限られた発表時間の中で分かりやすく研究成果を伝えるためにデータの見方や考察の視点、プレゼンの作り方についてご指導頂いた経験は、まだ研究経験の浅い学部生の私にとって非常に貴重な経験となりました。私たちのサマースクールのために数ヶ月間かけて準備してくださったとのことであり、最終日の研究発表会でPI賞を受賞させていただけたことも一つその恩返しができたように思えて大変嬉しかったです。
また研究活動だけでなく、全国各地から神戸に集った他のサマースクール生たちとの出会いも今回得た大きな財産となりました。異なるバックグラウンドを持ちながら、同じ環境で5日間寝食を共にするあいだ、サマースクールでの研究内容や普段大学で学んでいる分野を互いに語り合う日々は大変刺激的なもので、普段の学生生活以上に知的好奇心を掻き立てられたとともに、彼らと5日間しか共に過ごせないことを非常に名残惜しく感じた別れ際にもなりました。
多くの財産を得たこの5日間は、今後の進路を考えるにあたり間違いなく重要な分岐点であったと感じています。自分の能力や適性を客観視する良い機会となっただけでなく、ぼんやり遠くに見えていた「研究」という仕事が現実として目の前にあり、私自身もそのスタートラインに立っているという感覚を肌で感じられたことが何よりの成果です。今回感じたこの好奇心や責任感を、卒業研究を始め今後の様々な研究機会に是非とも生かしていきたい所存です。
最後に、宮道先生を始めお世話になった比較コネクトミクス研究チームの皆さん、多くの刺激を与えてくれたサマースクール生の皆さん、今回のサマースクールを主催してくださった理研BDRの方々にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。
このような素晴らしい機会を与えていただき本当にありがとうございました。

 
感想文をご提供くださった皆様、ありがとうございました。